*既刊の巻
◇第1巻『平和のグランドセオリー 序説』(植田隆子・町野朔編)
平和・安全・共生の密接な関わりを基本視座として、さまざまな視点から掘り下げるシリーズの第1巻。「寛容を巡って」(村上陽一郎)、「グランドセオリー序説:平和のミニ・セオリー」(ヨハン・ガルトゥング)、「平和の思想について:グランドセオリー構築との関連で」(千葉 眞)、「平和と共生を求めて:歴史から観る真珠湾と広島の和解」(川村のり子)、「ドイツにおける移民統合政策と多文化主義:再分配と承認の相克」(木部尚志)、「EUの経験からの理論的な貢献:欧州、多国間主義、平和構築」(マリオ・テロ)、「平和、安全と共生を求めて:混迷する国からの教訓」(テマリオ・C・リベラ)、「共生の社会は可能か?:私たちの試みと希望」(保岡孝顯)。
◇第2巻『近代化と寛容』(村上陽一郎編)
個人や社会が異質な他者との出会いのなかで自己変革するための契機として構想される「機能的寛容」を軸に、多方面から論ずる。西谷修「他者の心臓とともに生きる」、樫村愛子「社会学と精神分析モデルから見た『機能的寛容』」、石原明子「紛争解決と寛容」ほか。
◇第3巻『ニューサイコセラピィ:グローバル社会における安全空間の創成』(小谷英文編)
一人ひとりが『心的安全空間』を持つことが個人の幸福のみならず、共生や平和構築につながるという確信の下、『心的安全空間』を確保する装置としての「サイコセラピィ(心理療法)」の21世紀的飛躍を目指す。
◇第5巻『共生型マネジメントのために:環境影響評価係数JEPIXの開発』(宮崎修行編)
一企業活動が環境に与える影響を、定量的・総合的に把える画期的システムJEPIX。「JEPIXにもとづく環境負荷統合化シート」「環境報告書・CSR報告書におけるJEPIXの利用」ほか。
◇第6巻『分権・共生社会の森林ガバナンス:地産地消のすすめ』(西尾隆編)
日本の木材自給率は食料自給率の半分(約20%)。森林は多いのに林業が経済的に成り立たず、間伐もされず森林が荒廃している。環境保全の役割も十分果たせていない。本書は、分権・共生の理念に基づく地産地消林業による問題解決を提唱する。
◇第7巻『アジアから視(み)るジェンダー』(田中かず子編)
ジェンダー研究にもある欧米中心主義を乗り越えるべく、アジア人がアジアの視点を大切にしながら、さまざまなジェンダー問題を考察。「ジェンダー、貧困、フィリピン経済:変化の潮流と展望」(C・ソブリチア)、「ジェンダーと人間の安全保障:アジアから」(秋林こずえ)、「性とセクシュアリティの表象:母への鎮魂歌」(イ・ヒャンジン)、「日本の美術界とジェンダー」(北原恵)ほか。
◇第8巻『日本の植民地支配の実態と過去の清算──東アジアの平和と共生に向けて』(笹川紀勝・金勝一・内藤光博編)
日本・韓国・台湾等の研究者による国際共同研究の成果。三・一独立運動を軸に植民地法制・判例等を実証的に分析するほか、日本の植民地支配が被植民国に与えた文化面への影響をも事実に即して分析。他方、反植民地・抗日運動を支えた「抵抗の思想」の本質を探求。さらに、戦後補償や東アジア共同体について考える中で「真の和解」への道を探る。
◇第9巻『平和運動と平和主義の現在』(千葉眞編)
当初の期待と予想に反してなおも戦争とテロの絶えない21世紀初頭の時点に立って、平和運動と平和主義のあり方を顧みるとともに、その進むべき道を探る。「『9・11後』の世界おける平和問題」(坂本義和)、「テロの時代と国家テロリズムをめぐる考察」(R・フォーク)、「カントと反戦・平和主義:9・11後の国際政治思想」(北村治)、「外交政策のプラグマティズムと平和運動のモラリズム」(J・ガルトゥング)ほか。
◇第10巻『平和と和解のグランドデザイン─東アジアにおける共生を求めて』(村上陽一郎・千葉眞編)
「芸術の起源と機能的寛容」(村上陽一郎)、「平和研究と平和の政治─南北紛争状況における多文化的な共通安全保障」(武者小路公秀)、「消極的平和と積極的平和のグランドセオリーに向けて─平和・安全・共生」(ヨハン・ガルトゥング)、「戦争の悲哀─その地図作成に向けて」(フィリップ・ウェスト)、「「共生」と「和解」に向けて─「ゆるしの作法」の比較宗教的考察」(森本あんり)ほか。
◇補冊1『A Memoir of the Atomic Bombing 原爆の記』(指田吾一著)
原爆投下直後の広島で、自ら被爆しながら医師として治療に当たった著者が、その苛烈な経験を綴った手記。著者は旧田無市初代市長。一九六九年刊行(二〇〇七年復刊)の書を英訳し、日英両語版として刊行。国際基督教大学発行/風行社発売
◇補冊2『「平和・安全・共生」の理論と政策提言に向けて』(ヴィルヘルム・フォッセ/下川雅嗣編)
「トランスナショナルな平和文化と平和運動」(T・V・リード)、「ピケテロ運動と人間の安全保障──アルゼンチンの「ケース」」(ホアン・アイダル)、「「共生」と創造的破壊」(グレゴリー・フックス)、「平和構築の理論と現実」(高橋一生)など8論文を収載。
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