上田悠久著
A5判上製/302頁/本体4500円+税
我々はホッブズの助言論を通して、ホッブズが「近代的」なのか否かという問いを超えて、ホッブズの哲学的プロジェクトの極致とも言える政治学がもつ、重層性や複雑性をより正当に評価できるのである。(本書25頁)
ISBN978-4-86258-139-6
【目次】
序論
1.ホッブズの助言論に関する先行研究
2.ホッブズ研究における本研究の位置づけ
3.本書の構成
第一部 ホッブズの助言論
第一章 助言の思想史
第一節 大陸ヨーロッパの助言論──古典古代から中世、そしてルネサンスへ
第二節 イングランドの助言論とホッブズ
第二章 助言論と熟慮・熟議
第一節 熟議から助言へ──「悪い助言」の排除
第二節 助言者に必要な学知と経験
第三節 助言者が担う熟慮
第二部 助言論の文脈
第三章 教会批判と助言論──宗教の文脈
第一節 助言者としての聖職者──『法の原理』『市民論』
第二節 主権者に従属する助言者としての聖職者──『リヴァイアサン』
第三節 『リヴァイアサン』教会統治論の射程
第四章 政体批判と助言論──世俗の文脈
第一節 法律家批判と裁判官論
第二節 議会批判から助言者批判へ
第三部 ホッブズの「助言」
第五章 「助言者」ホッブズの政体構想
第一節 「哲学者」ホッブズへの批判
第二節 統治の運営──政体における助言者の役割
第三節 政体の「改革」と助言者
第六章 助言と歴史──政体移行論と内戦
第一節 ローマ史解釈の伝統とホッブズ
第二節 『法の原理』と『市民論』──政体移行論の変容
第四節 歴史叙述の哲学──助言のための歴史
結論 ホッブズは「助言者」か
(2021年3月25日刊行) |