長野 晃著
A5判上製/268頁/本体4200円+税
新たな〈一般国家学〉を樹立すると豪語したシュミットは、数年後には「国家などもはや存在しない」としてそれを断念した。にもかかわらず彼は、その後も国家について語り続けた。シュミットの裡にあった葛藤を解明し、その理論的格闘を辿る。
ISBN978-4-86258-134-1
【目次】
序章
第1節 問題の所在
第2節 先行研究
第3節 本書の構成
第1章 新たな国家学の探求 1920-1923年
第1節 独裁・憲法制定権力・機関説批判
第1款 国家学と独裁概念
第2款 独裁の区分と憲法制定権力
第3款 憲法制定権力説に基づく機関説批判
第2節 形式としての決断
第1款 クルト・ヴォルツェンドルフと「純粋国家」
第2款 エーリヒ・カウフマンと「生ける形式」
第3款 「法形式」としての「決断」
第3節 カトリシズム論と代表概念
第1款 イェリネックにおける「代表と代表機関」
第2款 「上から」の代表
小括
第2章 均衡・自由主義・民主主義 1923-1927年
第1節 議会制と均衡
第1款 均衡観念と自由主義
第2款 民主主義と同一性観念
第3款 議会解散権と均衡理論
第2節 議会主義論に対する反応とシュミットの応答
第1款 リヒャルト・トーマとモーリッツ・ユリウス・ボン
第2款 ヘルマン・ヘフェレとヴェルナー・ベッカー
第3款 シュミットの応答
第3節 直接民主主義
第1款 国民立法手続
第2款 直接民主主義の限界
小括
第3章 国家学構想の挫折? 1924-1928年
第1節 国家及び国家学の「危機」
第1款 アルフレート・ヴェーバーと近代国家の危機
第2款 ケルゼン『一般国家学』に対する反撥
第3款 シュミットにおける「国家の危機」
第2節 国際連盟批判から「政治的なるもの」へ
第1款 Bund概念からの国際連盟批判
第2款 国家学から「政治的なるもの」へ
第3節 『憲法学』における体系化
第1款 国家・憲法・憲法制定権力
第2款 均衡・市民的法治国家原理・議会制
第3款 代表・同一性・公論
小括
第4章 中立国家を巡る攻防 1928-1930年
第1節 統合理論の衝撃
第1款 『国制と憲法』におけるシュミット批判
第2款 統合理論の反響
第3款 シュミットの反応
第2節 中立国家論の展開
第1款 ライヒ大統領の中立権力
第2款 中立権力論から中立国家論へ
第3款 中立国家における職業官吏
第3節 中立国家論の相対化?
第1款 ファシズムによる相対化
第2款 ヨーロッパ近代史による相対化
第3款 ドイツ国家学史による相対化
小括
第5章 経済国家から経済自治へ 1930-1932年
第1節 多元主義とポリクラシー
第1款 多元主義批判と中立国家論の変容
第2款 ポリクラシーを巡るポーピッツとシュミット
第2節 二つの単行本化作業
第1款 多元主義的全体国家における連邦主義とポリクラシー
第2款 中立国家論の漂流
第3款 「政治的なるもの」の膨張
第3節 フォルストホフとフーバーにおける「自治」
第1款 エルンスト・フォルストホフと地方自治の危機
第2款 エルンスト・ルドルフ・フーバーにおける経済国家と経済自治
第4節 経済国家における自治構想
第1款 権威国家の可能性を巡って
第2款 自治精神の復権?
小括
終章
(2021年1月22日刊行) |