森 一郎著
A5判上製/330頁/本体3500円+税
「政治」や「国家」という領域にこそ現代日本における哲学の可能性を見出す著者が、アーレントの思考を導きの糸として、「政治的(ポリティカル)なもの」の由来たる「ポリス」へと遡り、そこから現代に向けて放たれる清新な光を見極める。「ポリスへの愛」は「自己愛」「平等への愛」であるとともに「共同体への愛」でもあった。
【目次】
序章 真珠採りの解釈学
第T部 ポリス的なものの概念
第一章 ポリスへの愛──国を愛する仕方あれこれ
第二章 ある自愛のかたち──フィヒテと「民族への愛」
第三章 ソクラテス以前のポリス──プラトンとペリクレス
第U部 アーレントとポリス的なもの
第四章 人間関係の網の目と実践的行為的連関──アーレントと和辻
第五章 エネルゲイア概念のポリス的起源──アーレントとアリストテレス
第六章 耐久性、共通性、複数性──アーレントの世界概念
第V部 語り合うこと、物語ること
第七章 〈ロゴスをもつ生き物〉を訪ねて(T)──ハイデガーの「ポリス内存在」の現象学から
第八章 〈ロゴスをもつ生き物〉を訪ねて(U)──アーレント『人間の条件』第四節への補注
第九章 物語ることの意味──「耳なし芳一のはなし」と『オデュッセイア』第八歌
第W部 〈リベラル〉と〈和〉の解釈学
第十章 友のものは皆のもの──プラトンと私有財産の問題
第十一章 リベラルということ──キケロと自由学芸の起源
第十二章 和を以て貴しと為す──古代日本の〈共和〉精神
終章 ある応答の可能性
ISBN978-4-86258-133-4
(2020年12月10日刊行)
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