◇『大衆社会とデモクラシー』(山田竜作) 20世紀以降のデモクラシー論(大衆デモクラシー、参加デモクラシー、ラディカル・デモクラシー)を、大衆社会論、管理社会論、ポストモダン社会論など「現代社会論」の変遷の中に位置づけ、再構成を試みる。 ◇『環境政治理論』(丸山正次) 何(誰)をどのように守るのか? 環境保護をめぐる多様な言説を踏まえ、人間と自然の存在論、近代と自然、フェミニズムと自然、等を軸に、「政治理論としての環境論」のあるべき姿を考究。 ◇『連邦主義とコスモポリタニズム』(千葉眞) 「多様性の中の統一」という組織原理としての連邦主義は、古代オリエント以来の歴史をもちながら、現代でもEUに見られるようにアクチュアルな問題として存在感を示している。その点はコスモポリタニズムについても同様である。通常別々に議論されてきた連邦主義とコスモポリタニズムを、カントからの強いインスピレーションに基づいて、共に「平和」を希求し支える構想・理念として考究。 ◇『コスモポリタニズムの挑戦』(古賀敬太) 多くの分野で相互依存が深まり、一国内で解決できる事柄が減る一方の今、無視できない思想となりつつあるコスモポリタニズムと、国民国家に重心を置く思想との真摯な対話を試みる中で、国民国家を超える秩序像のための理論的諸問題を整理。 ◇『平等の政治理論』(木部尚志) 平等は、人に屈辱的な思いをさせないという意味の〈品位〉を基盤にすえなければならない。そのことを原点としつつ、「複合的平等論」「運の平等主義」などの平等論を批判的に吟味、また平等と公共性や市民社会との関係をも再検討。 ◇『両義性のポリティーク』(杉田敦) 政治に敵対性が付きものだとしても、すべての対立軸がそこに収斂する単一の敵対性があるといった考え方はもはや採用できない。さまざまな敵対性が相互に打ち消し合ったり共振したりする、複雑な政治過程の中に私たちはいる。